2話。出逢い

話はさかのぼり、俺、赤池 淳とミノルの出逢った日の話。
6月の中旬、去年より梅雨が長く毎日のように雨が降っていた。
しかし、その日だけはまるで夏のようにカラッと晴れていて、おれは会社を休み昼間から近所の蕎麦屋にいた。
瓶ビールをあけ、ヤッコと枝豆をつまんでいたんだ。
この辺で飯が食えるトコと言えば、この蕎麦屋か、ちょっと離れた安楽亭ぐらいしかない。そのせいもあって、気付くと周りはサラリーマン一色に染まっていた。
ビールをつぎたし、何となく店のレジに目をやった。
会計を済まそうとして財布から小銭をかきだしながらアタフタシテル男がいた。
福本鉄平。俺の初恋の男だ。高校時代に好きになり、トモダチとして青春を過ごした。どんな女と付き合っても彼への想いには、届かなかった。
どうしたらいいんだ?
此処で話し掛けなければ、もう二度と逢えないかもしれない・・・。
気がつくと俺は席を立っていた。

てっぺいっ!半分ひっくり返ったようなオレの声に彼は気付いてくれた。おうっ!
覚えてくれていたのだ。卒業してから20年以上経っているのに、俺のことを・・・。
そっから何を話したかは覚えてない、緊張からか懐かしさからなのか、おれは機関銃のように、しゃべり続けた。
止めどない話しに彼は、夜もう一度逢う事を提案した。
彼の行き着けの店で逢うことになった。
名刺の裏に書いた地図を受け取り、その場は別れた。
その日の夜、俺は少し早めに家を出た。もともと方向音痴の俺は、地図を観ながら目的地を探すなんて技はもちあわせていない。
信号の先の・・赤い看板の・・店。
ビビ・・アン。
彼から言われた店につき、車を止め周りを歩きながらタバコに火をつけた。
ちょうど、同じタイミングで店のドアが開いた。バカヤロォー!いっぺん死んでこいっ!
かなりパワフルな蹴りで40半ばの親父が店からつまみ出された。
タバコを吸いこんだまま、吐くのを忘れて見とれてしまった。
彼は、俺に気が付くと、軽く会釈し店の中へと俺を導いてくれた。
店の中は、ガラーンとしてて、奥の方でママと常連さんが、かなり親密に話をしていた。
中町ミノル、宜しくね。簡単な挨拶と一緒にズブロッカを出してくれた。さっき見苦しいトコみせたから・・・。
からだはゴツいのに、綺麗な指先をしていた。
ブルルッ、カウンターの上でメール受信のバイブがなった。
此処に来る筈の鉄平からだった。
淳ちゃんの気持ちは分かってたよ。でもトモダチで、ホモダチは無理かもね。
人を振るときに洒落はいらない・・・。
赤池 淳38歳、想い続けた男にフラレタ。
俺の表情をみていたのか、気にしていたのか二度めのズブロッカが用意されていた。
元気だしなよ!ミノルのくちびるが俺の潤んだ目を覆った・・・。
いいオトコが台無しだよ・・・。
その日は、本当に記憶が飛ぶほど呑んで笑って、恋に落ちた。
出逢いを回想している場合じゃない!
おれは、バンパーの下に体を滑らせた。
つづく。

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  1. この話、ホンとにフィクションですよね(゚ω゚;A)

    登場人物の顔がリアルに浮かんじゃって… 

    お店でみんなに会ったら赤面しそうです。。

  2. すげぇ~なぁ~◎
    面白いっ!

  3. 遘√?縺ゥ繝シ縺ェ繧九↑縺ョ?滓掠縺冗カ壹″隱ュ縺ソ縺溘>縺ョ?∵掠縺乗擂縺?ーエ譖懈律

  4. ボクの出番はありますか・・・?

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