3話。殺 人犯

おいっ、おーいっ・・・。なあ、頼むから返事してくれよ・・・。
まったく反応はない。
俺は、バンパーの下にいる、その物体を直視出来なかった。
ヒトを助けに来て、自分がヒトをコロシテシマウナンテ・・・。
ヒトを助けに?
そうだ!ミノルを助けなきゃっ!
ここで、時間を使ってる場合ではない、幸い大量の血が流れてる様子もなく、この事故に気がついた人間もいないようだ。男としての力を振り絞り、腕を掴んで、引っ張り出した。
人間とは不思議なもので、こういう状況になると尋常じゃないチカラがでてしまう。
車の下から出て来たのは20代後半ぐらいの男だった。
目が少し開いたような気がした。

いや、あんだけの衝撃があったんだ、生きてる訳がない。どっちにしてもヒイテシマッタコトにかわりない。
俺は、両脚を引き吊りながらトランクに男の死体を乗せた。
どうせこの先、男と男が世の中で認められる訳でもない。同性愛者だけど総理大臣。。
有り得ない!!!だったらこのまま、死体をふたつトランクに積んだままミノルと地の果てまで逃げてやる!
なんだか強気になれた。俺は、ドアを力強くしめ車を発進させた。
もうひとつの死体を乗せたら、すぐ走り出せる様に店の前に車をとめた。
おっきく深呼吸し、店のドアを開けた。
淳ちゃんっ!
涙混じりのかすれた声でミノルが近づいてきた。とにかく抱き締めた。強くツヨク。
耳元でミノルが何か言っている、
だって・・。 きゅうがっ。
えっ?ゆっくり話してみな、ゆっくり。なっ!
なにがあったのかはなしてくれないか?
ミノルは、俺から少し距離を置いてから話しはじめた。
今日、初音から電話があったの。子宮を12万で買わないかって!
あたしは、ママに前借りしてまで、お金を揃えたの!!!
そしたら、初音、あたしを笑ったのっ!
大きな口を開けて笑ったの、冗談よ!馬鹿じゃないのっ!って。
そうよ!あの女、最初から売る気なんかなかったのよっ!だからっ!
だから、あたしっ!!
ミノルは声を荒げた。
普通なら、人間だったら、この話を聞いて、なにいってんの?ってなるかもしれない。子宮買ってどうすんの?って。
でも、俺はうれしかった。きっとミノルは、子宮さえ手に入れれば、俺が自分だけのモノになると本気で考えたのだろう・・・。
もう一度抱きしめようとミノルに近付いた、その時
、ガシャンッ。
奥のテーブルからグラスが落ちた。
つづく。

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  1. この終わり方で、つづきが気にならないわけがない。。。ですよねぇ・・・。

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