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3話。殺 人犯

おいっ、おーいっ・・・。なあ、頼むから返事してくれよ・・・。
まったく反応はない。
俺は、バンパーの下にいる、その物体を直視出来なかった。
ヒトを助けに来て、自分がヒトをコロシテシマウナンテ・・・。
ヒトを助けに?
そうだ!ミノルを助けなきゃっ!
ここで、時間を使ってる場合ではない、幸い大量の血が流れてる様子もなく、この事故に気がついた人間もいないようだ。男としての力を振り絞り、腕を掴んで、引っ張り出した。
人間とは不思議なもので、こういう状況になると尋常じゃないチカラがでてしまう。
車の下から出て来たのは20代後半ぐらいの男だった。
目が少し開いたような気がした。
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2話。出逢い

話はさかのぼり、俺、赤池 淳とミノルの出逢った日の話。
6月の中旬、去年より梅雨が長く毎日のように雨が降っていた。
しかし、その日だけはまるで夏のようにカラッと晴れていて、おれは会社を休み昼間から近所の蕎麦屋にいた。
瓶ビールをあけ、ヤッコと枝豆をつまんでいたんだ。
この辺で飯が食えるトコと言えば、この蕎麦屋か、ちょっと離れた安楽亭ぐらいしかない。そのせいもあって、気付くと周りはサラリーマン一色に染まっていた。
ビールをつぎたし、何となく店のレジに目をやった。
会計を済まそうとして財布から小銭をかきだしながらアタフタシテル男がいた。
福本鉄平。俺の初恋の男だ。高校時代に好きになり、トモダチとして青春を過ごした。どんな女と付き合っても彼への想いには、届かなかった。
どうしたらいいんだ?
此処で話し掛けなければ、もう二度と逢えないかもしれない・・・。
気がつくと俺は席を立っていた。
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置き手紙。1話

さようなら、我慢の限界、今までありがとうございました。スーパーのチラシの裏に書いた手紙を見つけたのは、日付も変わった午前2時過ぎだった。オレは、また、いつもの事だと気にもせず、買ってきた牛丼をビールで流し込んでいた。大体この時間に帰ってきて、買ってきたメシを2人で食べ、かるく1日あった事を話して寝てしまう事が多い。当たり前だった事が突然なくなると案外寂しいものだ。この時間じゃ実家に電話する事も出来ないし、近所を探すのには時間が経ちすぎている。
まっ、明日になれば、きっと横で寝てんだろう・・・。そんな事を考えながらウトウトしていた。
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